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1988年に米国の内国歳入庁(IRS)が、団体の継続性、持分の自由譲渡性など一定の要件を満たしたLLCはパートナーシップ課税、すなわち構成員課税を適用するという通達(キントナー規則)を出したことから、1990年代には各州でLLC法の制定が相次ぎます。 さらに1996年12月にはIRSがいわゆるチェック・ザ・ボックス規制を導入し、LLCはパートナーシップとしての課税と法人課税のいずれかを自由に選択できることとなりました。
これによってLLCの利用は一気に広まり、1998年までには、すべての州がLLC法を制定するに至りました。 最近10年間で約80万社のLLCが創設され、現在では、投資ファンド、ベンチャーキャピタル、共同事業、研究開発、映画製作からベンチャー事業、家族経営の小規模ビジネスまで、幅広い分野においてLLCが活用されています。

LLC制度の詳細は各州法によって異なるのですが、出資者が出資額の限度までしか事業上の責任を負わないこと(有限責任制)、出資者が組織内部のルールを自由に決めることができること(内部自治原則)、出資者への直接課税が選択できること(構成員課税)、の3点は米国LLCに共通する主要な特色になっています。 (2)米国LLP米国LLPは、通常のパートナーシップが、LLPとしての取扱いを受けることを選択した組織と説明されています。
1980年代に不動産価額の暴落によって貯蓄貸付組合(savingsandloanassociation)や貯蓄金融機関(thriftassociation)が多額の負債を抱えて倒産し、これらに雇用されていた法律事務所や会計事務所を相手取って政府が訴訟を提起したことが契機になったといわれています。 当時、法律事務所や会計事務所はパートナーシップを組んでいました。
一部のパートナーに業務過誤やその他の不当・違法行為があった場合には他のパートナーも一種の連帯責任を負うことから、問題のあった業務に何ら関わっていないパートナーまで多大な負債を負うことになり、有限責任のパートナーシップ創設への要望が高まったのです。 1991年にテキサス州でLLPに関する立法が行われたのを最初として、1990年代に各州の法律によってLLP制度が創設され、1999年までにはすべての州がLLP法を制定しています。
米国LLPの特徴も、LLCと同様に、有限責任・内部自治原則・構成員課税(パートナーシップ税制)と整理することができます。 有限責任の範囲は州によって異なります。
当初は会計士や弁護士・医師等の専門家のパートナーシップにのみLLPの利用を認める州が多く、また、有限責任の範囲を業務過誤に限るという制約もありましたが、各州における近時の法改正の結果、LLCとLLPの差異は小さくなったといわれています。 しかし、LLCの方がすでに広まっていたこともあり、一般の事業を運営するための事業体としてはLLCが広く用いられている一方、会計事務所や法律事務所は、従来のパートナーシップから組織変更するのが容易である等の理由から、LLPを利用するケースが一般的のようです。
(3)英国LLP英国LLPも、有限責任・内部自治原則・構成員課税(パートナーシップ税制)を特徴とする事業体です。 また、米国のLLPと異なり、独立した法人格(separatelegalpersonality)を持つことが明らかにされています。
英国LLPも、米国LLPと同様に、公認会計士業界や弁護士業界からの要望に応える形で2000年に導入されました。 TheLimitedLiabilityPartnershipsAct2000が施行されたのは2001年4月6日のことです。
従来は、会計事務所や法律事務所は各構成員が無限責任を負担するパートナーシップ制度を利用するのが通例でした。 しかし、1990年代に会計事務所や法律事務所の規模が拡大し、同時に公認会計士や弁護士が業務過誤による損害賠償請求を受ける訴訟が増加してその請求額も巨額化の傾向があったことから、1人のパートナーの職務義務違反についてパートナー全員が無限責任を負うパートナーシップ制のリスクが高まりました。

このような状況下で、有限責任のパートナーシップ制導入への要望が高まり、LLP法の制定に至ったのです。 上記のような導入の経緯から、英国LLPについても、初期の米国LLPと同様、公認会計士や弁護士のような専門家の事業体のみを対象とすることが検討されましたが、最終的には業種の制限のない、一般的な組織形態とされました。
もっとも、現在の利用状況をみると、会計事務所、法律事務所、設計事務所、デザイン事務所といった、従来パートナーシップ制を採用していた専門家集団の性格を持つ業種での利用が中心のようです。 英国の会社設立を担当するCompaniesHouseのレポートによると、LLP法施行からほぼ3年が経過した2004年3月31日現在のLLPの数は7396社となっています。
有限責任であることの予見可能性を確保するための措置LLPの組合員は、出資額の限度までしか事業上の責任を負いません。 これをLLPの債権者の立場からみると、LLPの財産だけでは債務の弁済に足りない場合であっても、出資の限度を超えて組合員個人から弁済を受けることはできない、ということになります。
このようにLLPの債権者は、民法上の組合の債権者よりも不利益を被る可能性が高いため、法は組合債権者の保護を図って以下のような規定を置いています。 日本版LLPは、個人や法人の共同事業の健全な発展を図り、日本の経済活力の向上に資することを目的として、創設されました(法1条)。
日本版LLPの主な特色とこれに対応する法の概要は、以下のようにまとめることができます。 (1)有限責任日本版LLP制度の概要取引の相手方の予見可能性を高めるために、LLPの登記制度や、「有限責任事業組合」という名称の使用を強制する制度が設けられました。
組合財産の確保および開示の規定出資が実行されて初めてLLPの成立を認めることとして出資の履行を確保し、出資の種類も金銭その他の財産に限定しています。 また、組合債権者がLLPの組合財産の状況を把握できるように、会計帳簿の作成および財務諸表等の作成・開示が義務付けられています。
さらに組合財産が不当に流出して組合債権者が害されることがないように、債務超過時の利益の分配を廃止するなど、LLPの組合財産の分配にも規制が設けられています。 事後的救済のための措置組合の業務に関して第三者に損害が生じた場合、賠償責任が組合債務として各組合員に帰属するほか、組合員が自己の職務を行うについて悪意または重過失があったときは、その組合員は損害を与えた第三者に対して連帯して損害賠償義務を負担します。
(2)内部自治原則法は、内部組織についての柔軟な運用を可能にするルールと、柔軟な損益配分を可能にするルールを定めました。 一方で、法は、LLPの共同事業性を確保するための諸規定を設けています。

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